忘れられないおいしさに出会う。 ベーカリー激戦区・三軒茶屋のパンさんぽ

三軒のお茶屋さんがあったことが由来の「三軒茶屋」は、さまざまな顔を持つ魅力的な土地。一歩路地を入ると、居酒屋やスナックがぎゅうっと肩を寄せ合う下町のような風景があったり、一方で洗練されたビストロやカフェなどが立ち並んでいたり。また、最近ではベーカリー激戦区と言われ、おいしいものが集う街と呼んでもいいほど。

今回はそんな三軒茶屋に長く住んでいた、パンを焼くのが趣味のわたしが「忘れられない! もう一度食べたい!」と恋い焦がれてしまうベーカリーをピックアップしました。

今回のおさんぽルート

三軒茶屋駅→①ミカヅキ堂→②メゾンカイザーTable→③Richu濱田家→④ヌクムク→⑤ブーランジュリ シマ→⑥銀座に志かわ 三軒茶屋店→三軒茶屋駅

行程:3.5km
歩数:5800歩
所要時間:46分+食事、お買い物
予算:3000円ほど

東急田園都市線と世田谷線が走る「三軒茶屋駅」は、国道246と世田谷通りが分岐する大きな交差点を中心に栄えてきました。世田谷通り沿いには、お芝居やバレエなどを上演するシアタートラムやTSUTAYA、東急ストアなどが入る「キャロットタワー」がそびえ立ち、これが三軒茶屋のシンボルに。

26階には三軒茶屋の街が見渡せる展望台と、「ホテルオークラ」の料理が食べられる見晴らしのいいレストラン「スカイキャロット」があります。

26階の展望台にベンチがあるので、景色を眺めながらパンをつまんで。

さて、「キャロットタワー」の脇を入っていく道をとおり、茶沢通りと平行するように歩いていきましょう。教会が運営するかわいらしい幼稚園を左に見ながら進んでいきます。この道沿いにもちょこちょことおいしいお店や、食器などを置くお店、花屋、洋服屋などがあり、つい立ち寄りたくなってしまいます。

三軒茶屋には「隠れた名店」という言葉が似合うようなお店が裏道にいっぱい。イタリアンやフレンチをはじめ、串揚げやちゃんぽん、中華など、さまざまな名店があります。
地元の方にも愛されている「ヨーロッパ食堂」。
ランチタイムはいつもお客さんでいっぱい。

「ヨーロッパ食堂」を通り過ぎてちょうど対角線上にあるのが、今回紹介したいおすすめベーカリー1軒目。ヨーロッパ食堂の系列店「ミカヅキ堂」です。

1本格的なお惣菜がいっぱいの贅沢パン

自家製生パスタが評判の「ヨーロッパ食堂」で長く勤めていたスタッフと、パン職人だった「ミカヅキ堂」のオーナーがひらいたのが、こちらのベーカリー。
ここでおすすめなのは、おいしい前菜やメインディッシュを食べている気分になれる、お惣菜がぎっしり詰まったおかずパンです。

ハムやマヨネーズ、ツナなどはすべて自家製。
極力無添加でと意識して作られている、やさしい 味のお惣菜がぎゅぎゅっ。

季節に合わせて変わるタルティーヌ。秋は、秋刀魚と数種のきのこを豪快にのせたものが新登場(480円+税)。思わず白ワインが飲みたくなる味。
クロックムッシュやホワイトチョコレート入りのブリオッシュなど、目移りしている間に飛ぶように売れていってしまいます。
人気ナンバーワンは、ややハードで歯切れのいい生地にミルククリームを挟んだ「ミルクフランス(税込240円)」。クリームが甘すぎず軽やかで、いくらでも食べられそう。
ランチどきにはお店の外まで人が溢れることもあるので、訪問時間には要注意。

また、最近新しい系列店「サンフラド(http://sunflowed.com/)」をオープンさせたそう。農家さんから直接仕入れる無農薬の野菜や自家製ドレッシング、生パスタ、お惣菜のほかに、ミカヅキ堂のパンも買えるとあって、普段使いはもちろん、おもたせや持ち寄りパーティーの準備にぴったりのお店です。

ミカヅキ堂
東京都世田谷区太子堂4-26-7
03・6453・4447
営業時間 9:00-19:00(土日は10時〜)
定休日 水曜日
http://www.mikaduki-do.com/

「ミカヅキ堂」でお惣菜パンを買ったら、つづいて次のお店も行ってみましょう。ちなみに「ミカヅキ堂」はショッピングバッグが華やかな色でかわいいんですよ。チェックしてみてくださいね。

裏通りから茶沢通りに出ると、ぐっと交通量も人も多くなります。おしゃれなお店もありますが、昔から続くお肉屋さんや金物屋さんなど、レトロな街並みも感じられるのが三軒茶屋の親しみやすいところです。移り変わる店舗もあるなか、ずっと街の変化を見続けてきたお店もあります。

茶沢通り沿いを行き、上を見上げるとおすすめ2軒目。なんと1年前に、あの有名な「メゾンカイザー」が三軒茶屋にやってきたのです。

ビジネスホテルの一角にあり、朝食会場でもあるので、モーニングも食べられます。

2クロワッサンもバゲットも食べ放題

全国展開している「メゾンカイザー」が経営する「メゾンカイザーTable」は、パンブッフェのレストランなんです。もちろんTake outも可能。東京にはこの三軒茶屋店と渋谷ヒカリエ店があり、店長さんからは「ヒカリエはすごく混んでいて並ぶので、ちょっと足を伸ばして三茶に来ていただくと、ゆっくりできてオススメです」との朗報が。

一番人気のクロワッサンとバゲットはかごいっぱいに並べられています。
でもあっという間になくなっていきますから、お早めに。
店内はゆとりある作りで、ベビーカーのお客さまも安心して入れます。
そしてなんと電源席とフリーwifi完備!! コワーキングスペースにも。

パンブッフェのお店はさまざまありますが、クオリティーの高い「メゾンカイザー」のパンが好きなだけ食べられるというのは夢のよう。

サラダやスープ、お肉料理などからメインディッシュを選ぶと、パンブッフェとドリンクがついてきます。その中から今回は、オレンジとサーモンがどっさりのったサラダを。
パンだけでなくメインのクオリティーも高くて驚きます。

メゾンカイザーTable 三軒茶屋店
東京都世田谷区太子堂2-17-9ザ・ビー三軒茶屋2F
03・5787・6265
営業時間 7:00-10:00(モーニング)、11:00-20:00
定休日 無休
http://maisonkayser.co.jp/

「メゾンカイザーTable」を出たら、今度は茶沢通りを下北沢の方に向かってぶらぶらと歩きましょう。

この角を入っていくと3軒目のおすすめ店があります。

3パン生地がおいしい三茶発祥のベーカリー

つづいて紹介したいのは、こちら。三軒茶屋においしいベーカリーができたのは、おそらく「濵田家」がはじまりではないでしょうか。今回は、世田谷通り沿いにある濵田家本店ではなく、太子堂の「Richu濱田家」をご紹介します。

くるみとレーズンの入った生地にチーズクリームがたっぷり。女性に人気のパンだそう。
クロワッサンは全粒粉入りで折り込み回数を減らし、もっちりした生地に。

「Richu濱田家」のショーケースには、メロンパンや豆ぱんなど本店と同じメニューも並んでいますが、実は同じものではないのです。「Richu濱田家」のパンはすべて国産小麦を使用していて、濱田家おなじみの豆ぱんも、たまごと牛乳を使わない「豆乳まめぱん」が作られています。

「Richu濱田家」で購入したいのは、春雨やきんぴらなどが入ったお惣菜パンもさることながら、やはり食パンが外せません。食パンがブームになり、本当にいろんなパン屋さんのものを食べましたが、個人的には濵田家の角食がいちばん好み。柔らかすぎず甘みも強すぎず、わりとしっかりと耳に硬さがあって、毎日食べても飽きない、いつもキッチンに置いておきたい味です。

Richu 濱田家 太子堂本店
東京都世田谷区太子堂2-24-7 ラピス三軒茶屋1階
03-3424-9988
営業時間 8:30-20:00
定休日 無休
http://www.hamada-ya.jp/shop/richu.html

さて、「Richu濱田家」を出たらふたたび茶沢通りを下北沢の方へ。下北沢までも三軒茶屋から徒歩25分くらいですから、お天気のいい日はのんびり足を伸ばすのもいいですよね。週末の茶沢通りは歩行者天国になっていて歩きやすいんですよ。

そうそう、三軒茶屋駅の近くにはレンタサイクルがあって、18時までなら200円で借りることができます。パンをたくさん買うと重いので、自転車さんぽでも♪

代沢十字路に近づくにつれ、少しずつ人がまばらに。静かな通りです。

4おもちゃ屋さんのような空間で自分好みのパンを

4軒目にご紹介するのは、練馬から移転してきた「ヌクムク」。テレビでも紹介されていたので、見たことある! という方もいるのではないでしょうか。

お店の中には天井までびっしりとおもちゃが。オーナーが趣味で集めた大切な雑貨。

1階はパン屋さん、2階がカフェ、3階はオーナーのご自宅で、どのフロアにもかわいい雑貨がいっぱいなんだそう。入るだけでテンションが上がってしまい、つい棚を眺めるのに必死になってしまいます。

おかずパンや食パン、いちばん人気のあるクリームパンなどももちろんおすすめですが、お店に並んでいるパンをよく見てみると、ハードなパン生地がおいしいお店なのだろうな、ということが伝わってきます。そこで、わたしがイチ推ししたいのは「フランスパンドーナッツ(230円+税)」。

むぎゅっとした丸いフォルムもかわいらしく、油で揚げていないのでヘルシー。
しっかりした生地は食べ応えも満点。
桃がのった食パンのケーキ。スポンジケーキでなく、アレルギーの子でも食べられるようにと、たまご不使用の食パンでつくられています。

ふっくらやわらかで大きなドーナッツが流行しましたが、個人的には甘すぎることと生地がやわらかすぎることを残念に思っていたんです。このドーナッツは噛みごたえがあって生地そのものの味がおいしいので、甘さで誤魔化すことなく、シンプルなお砂糖がよく合います。世田谷区が選ぶ「世田谷みやげ」にも指定されているんですよ。

ポップで目立つ外観なので、すぐに見つけられます。
パンを買うだけでなくお店をじっくり見ながら2階のカフェで楽しむのも。

ヌクムク
東京都世田谷区太子堂5丁目29-3
03-6805-5411
営業時間 8:00-19:00(2階のカフェは9:30から)
定休日 月曜日 / 第1・3・5火曜日
https://nukumuku.jp/

「ヌクムク」を出たら、ふたたび三軒茶屋の駅の方に戻り、そこから弦巻の方に向かって歩きます。三軒茶屋の駅からはちょっと遠いのですが、ぜひご紹介したいパンがあるんです。

5地元の人にずっと愛されている揚げたてカレーパン

こちらは「ブーランジュリ シマ」。2007年オープン以来、ご近所に固定ファンがいっぱいいらして、お昼過ぎに取材に行ったらもう店内が閑散とするほどの売れ行きでした。

「ブーランジュリ シマ」でオススメしたいのは、何といってもその場で揚げてくれるカレーパン! 注文をすると、厨房でサクサクに揚げてくれ、熱々を食べることができるのです。

アップで見せたくなっちゃうほど、黄金色の衣がきれい。
ぜひその場で熱いうちに食べることをオススメします。
一緒に食べたいのは、このアイスパン。パン生地の中にアイスがぎっしり入っているんです。外の席で、揚げたてカレーパンとアイスパン、最高でしょ?

ブーランジュリ シマ
東京都世田谷区三軒茶屋2-45-7
03-3422-4040
営業時間 9:00-19:00
定休日 月曜・火曜
https://ameblo.jp/shimapan3cha/

さあ、食べ過ぎたお腹を抱えて駅に戻りましょう。実は最近、駅のすぐそばに、銀座で大人気の「銀座に志かわ」がオープンしたのです。

6ふわっふわ! その場でちぎって食べたくなる食パン

「銀座に志かわ」は、2斤サイズの食パン1種類しか販売しない、こだわりの食パン専門店。アルカリイオン水にはちみつ、生クリームなどで練り上げた生地は艶やかで、とろけるという表現がぴったりな食パンです。

店舗奥の工房で毎日焼かれているので、タイミングによっては、まだ温かいものを持ち帰ることもできます。

個人的にオススメなのは、ほんのり温かいものを手で割って、何もつけずに食べるのがいちばん。また、翌日でも柔らかさが変わらないので、そのまま食べられます。さっと表面だけ軽く炙ると、表面の生地に守られるように中のしっとり感が増すので、こちらの食べ方もオススメです。

しっかりした紙袋に入っているので、このままおもたせにするのも喜ばれますよ。
和の内装で料亭のような店内。自分用に購入すると、ちょっぴり贅沢をしている感覚に。

銀座に志かわ 三軒茶屋店
東京都世田谷区太子堂4-20-4
03-5432-9106
営業時間 11:00-19:00(売り切れ次第終了)
定休日 不定休
https://www.ginza-nishikawa.co.jp/

どこもかしこも紹介したくなってしまうほど大好きな街、三軒茶屋。今回はベーカリーに絞りましたが、おいしいものも素敵なお店もフォトジェニックな場所もたくさんある三茶で、ぜひ好みのおさんぽルートを見つけてみてくださいね。

最後に、「キャロットタワー」の26階で買ったパンを頬張ることもお忘れなく。

おさんぽまとめ

三軒茶屋駅→①ミカヅキ堂→②メゾンカイザーTable→③Richu濱田家→④ヌクムク→⑤ブーランジュリ シマ→⑥銀座に志かわ 三軒茶屋店→三軒茶屋駅

行程:3.5km
歩数:5800歩
所要時間:46分+食事、お買い物
予算:3000円ほど

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さんぽに行ったライター

料理家・ライター。 出版社に勤務したのち、フリーライターに。食をテーマにした記事やグルメ取材、食品パッケージのコピーなどの執筆のほか、レシピ開発やフードスタイリングにも携わる。ロケ弁やケータリングフードを作る「オウチゴハンヤ」も時おり開業。自作のオススメ料理は野菜を使ったお惣菜。カヌレやシュトレンなどのお菓子やパンを焼くのも好き。4歳と12歳の母でもある。