“プレーパーク”って知ってる? 泥遊びや水遊びが思いっきりできる 世田谷「羽根木公園」さんぽ

世田谷区には“プレーパーク”という子どもの遊び場があるのをご存知ですか? 今回さんぽする「羽根木公園」には、世田谷区と地域住民が作った、子どもたちが自由に遊ぶことを目的にした空間“プレーパーク”があります。
普通の公園には、ボール遊びや滑り台を下から登ることなど、遊ぶにしても禁止事項がたくさんあって、好きなように遊べる“プレーパーク”のような場所は貴重。今回はその「羽根木公園」のプレーパークを中心に、京王井の頭線「東松原駅」から小田急小田原線「梅ヶ丘駅」までをおさんぽしてきました。

今回のおさんぽルート

東松原駅(東口2)→①ブーランジェリー カドー→②WASABI-Elişi→③くるくるひろば→④羽根木公園&羽根木プレーパーク→梅ヶ丘駅

行程: 2.0km
歩数:4,000歩
所要時間:25分+食事、遊び
予算:1,500円

 

京王井の頭線「東松原駅」は、渋谷駅から各駅停車ですぐのアクセスがよい場所。小さな駅ですが、周囲には商店街や「亀甲新」というアーティスティックな集合住宅があって、おさんぽしがいのある街です。駅からは、まるで路面電車の駅のように線路と踏切が見られるので、鉄道好きな子どもと一緒ならここでしばらく電車を眺めてから、おさんぽスタート。

改札に行くルートは階段以外にもエレベーターがあるので、ベビーカーでも大丈夫。

駅から環状七号線の方に向かって歩くと、数分のところにあるデザイナーズマンション「亀甲新」は、京都や金沢といった古都を思わせる雰囲気。オフィスや店舗も入っている集合住宅で、広々としたグリーンいっぱいの庭が見られます。

贅沢な空間の「亀甲新」に面した通りは、歩くだけで旅気分が味わえます。

1お惣菜パンやハードパンなど種類豊富なイートインできるパン屋さん

「亀甲新」の向かいには、天然酵母パンが食べられる「ブーランジェリー カドー」があります。お店の隣にはガラス張りの工房があり、パンをつくっているところが見られます。お店の名前「Cadeau(カドー)」は、フランス語で“贈り物”という意味だそう。

 

左/正面から左側が店舗、右側がパン工房になっていて、イートインスペースは中央にあります。
右/ふんわりと丸めているパン生地や、オーブンから出てくる熱々のパンなど工程が見られます。
左/ホテルでパン職人をしていたオーナーがつくるパンは、有機栽培の小豆を使ったあんぱんや、クロワッサン生地にシュガーをかけて焼いた「リーフ」など、あれこれ迷ってしまうほど種類が豊富。
右/テラスのイートインスペースで購入したパンを食べるときは、店内のコーヒーメーカーを利用することができます。アイスコーヒーは100円、ホットコーヒーはなんと無料!

 

季節ごとに、旬の素材を使った新しいパンに出会えるのって、パン好きには嬉しいことですよね♪ 秋は、栗やりんごなどを使ったパンが並ぶそうですよ。お昼過ぎに伺ったのですが、カンパーニュなどのハードパンも続々と焼き上がってきて、店内はパンの芳ばしい香りが漂っていました。

程よい甘さのカスタードクリームと栗が、ふわふわの生地に包まれた秋の新商品「渋皮栗のタルト(税込259円)」。
他にも、フレッシュトマトをたっぷり使った「マルゲリータ(税込270円)」や、ソーセージを丸ごと一本包んだ「ロングソーセージ(税込356円)」などのおかずパンを購入。

 

ブーランジェリー カドー
東京都世田谷区羽根木1-19-19
03・6304・3557
営業時間 9:00-19:00
定休日 月・木
http://boulangerie-cadeau.com/

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2トルコを中心とした刺繍や編み物などに触れられる針仕事の店

ランチが済んだら、「亀甲新」にある手仕事のアイテムが並ぶ「WASABI-Elişi」をのぞいてみましょう。トルコのものを中心に、「縫う、刺す、編む」の作家の企画展が定期的に開かれています。刺繍や編み物のワークショップもあって、覗くだけでも楽しめますよ。

ガラス窓から見えるのは、これからはじまるワークショップの見本品。麦を使ったスウェーデンの工芸品「ヒンメリ」が揺れています。
左/青森・津軽地方に伝わる刺し子、こぎん刺しのバッグ。取材時、こぎん刺し教室の生徒さんの作品展が開催中でした。
右/熊本の作家「little vintage」のカンタ刺繍の布からリメイクした服や、トルコの伝統レース編みoya、ビーズ刺繍、ファブリックなど、美しいものがたくさん。

繊細なものは子どもがいっしょだと緊張するなあ……と、ドキドキしていましたが、ママがゆっくり見られるよう、お店には子ども用のおもちゃも常備してくれています。子連れでもワークショップに参加できたり、子どもがワークショップを体験できたりするなど、ママにも嬉しいお店です。

WASABI-Elişi(ワサビ・エリシ)
東京都世田谷区羽根木1-21-27 亀甲新ろ60
03-6379-2590
営業時間 11:00~17:00(木・金 13:00~19:00)
定休日 火(祝日は営業)
http://www.wasabielisi.com/

🐾

「東松原駅」のほうに戻りながら、「羽根木公園」を目指して歩いてみましょう。「亀甲新」のあたりはさほど車通りも多くなく、静かでのんびりとしています。

3地域の人たちのコミュニケーションの場にもなっているリユースショップ

東松原駅まで戻ってくると、線路沿いに見えるのがこの「くるくるひろば」。店内にはリユースできる商品がところ狭しと並んでいます。ここにあるものは無料で持って帰ることができ、まだ使えるものは置いていくことができる、まさにくるくると物々交換ができるお店なのです。

子どもの洋服、靴などはすぐにサイズアウトしてしまうので、店内には状態のいいものが多く置かれていました。ベビーベッドやチャイルドシートなど大型の商品は、掲示板に商品名が書いてあります。

「くるくるひろば」は、オーナーの伊藤さんが自宅前でガレージセールをしていたことからスタートしたとか。取材中もご近所の方が、捨てるにはまだきれいな洋服やバッグを持ってきていました。流行に合わせてつい購入したけれど、一度も履かなかったという新品の靴も棚に置かれていましたよ!

運営はカンパで賄われています。お店の品物を持って行った人や、リユース品を持ち込んだ人が「いつも引き取ってくれてありがとう」とカンパしていくそう。

物々交換だけでなく、「欲しいけど破れてしまっているからどうしよう」と悩んでいるお母さんに、「繕ってきてあげるわよ」と手仕事のじょうずな高齢者の方が声をかけるなど、地域のコミュニティの場にもなっています。

くるくるひろば
東京都世田谷区松原5丁目2−6
080・4063・0744
営業時間10:00~18:00(雨天休業)
定休日 不定休
https://ameblo.jp/millionseasons/

🐾

くるくるひろばを出たら、商店街を通って本日のおさんぽのメイン、「羽根木公園」に向かいます。商店街も地元に愛されるお店で賑わっています。

 

左/お豆腐屋さんには、お豆腐ドーナツや豆乳などおいしそうなものも売っていました!
右/こちらの八百屋さんはなんと言っても新鮮な野菜が安い! つい買っていきたくなるお値段でした。

4着替え持参必須の自由な遊び場、羽根木公園&羽根木プレーパーク

「羽根木公園」に到着! 公園内には、テニスコートや遊具のある児童公園、毎年梅まつりが行われる梅林があります。

左/フリーマーケットやキッズ向けのイベントなどは、世田谷区のホームページで確認できます。
右/11月ごろになると銀杏並木も色づいて美しいのでおすすめです。桜並木の通りもありますよ。

 

羽根木公園の南東にあるのが、こちらの「羽根木プレーパーク」。子どもたちが自由に遊べるようにと作られた場所です。プレーパークには、子どもたちと一緒に遊んだり、遊具を作ったりしてくれる「プレーワーカー」が常駐しています。プレーワーカーは、遊びの楽しさを教えてくれたり、相談に乗ってくれたり、子どもたちを見守り寄り添ってくれる存在です。

遊具は、他の公園では見られないような手作りのものばかり。木にロープをくくりつけただけのブランコや、木でできた滑り台(夏にはこれにブルーシートを張ってウォータースライダーに変身!)など。一見危なさそうに見える遊具も、子ども自身が自分のからだの使い方や力量を知りながら遊ぶことができるので、バランス感覚や運動能力を育てるのに役立ちます。

左/自分の責任で自由に遊ぶ、という看板。
右/遊具などに塗られているペンキも子どもたちによるもの。

プレーパークの入口付近には、「あかちゃんスペース」という旗のたなびく「そらまめハウス」があります。こちらはオムツ替えや着替えに使えるほか、あかちゃん用のおもちゃがあるので、ねんねやハイハイの子はこちらで遊びましょう。子育て支援スタッフもいて、お母さんたちの憩いのスペースにもなっています。

左/お弁当を食べたり、お母さん同士のコミュニケーションの場所になったりも。
右/雨の日や寒い日は、ここで室内遊びを楽しむことができます。

プレーパークには、他の公園との違いがたくさんありますが、何より特徴的なのは、火が使えることと、常備されているノコギリやかなづち、くぎなどで自由に作ができること(焚き火は、つけられる日が決まっています)。

焚き火では、ホイルにくるんださつまいもやりんごを焼いたり、串にさしたマシュマロを焼いたり、みんなで持ち寄った野菜を切って、大きなお鍋にスープを作ったり。おたまに入れたお砂糖と水を煮詰めて作る「べっこう飴」も、子どもたちの大好きなおやつのひとつ。

他にも、お母さんたちの「今度これやろう〜!」というアイディアから生まれる遊びにたくさん出会えます。

もうひとつの工作ゾーンは、自由に使える木材にトントンとくぎを打ったり、ノコギリで切ったり。小さな子はお母さんと一緒にしたり、小学生になると自分で何か作ったりしています。

左/ノコギリやかなづちは、使うたびに力の加減がわかっていくもの。危ないことも自分でだんだんと理解していきます。
右/夢中になって作っているうち、びっくりするほど大きな作品ができることも。

取材当日は小雨がぱらついていましたが、子どもたちはカッパを着て雨を楽しんでいました。幼稚園でも保育園でもない、お母さんたちが子どもを預けあう「自主ようちえん・ひろば」や、親子サークル「ピッピの会」など、羽根木プレーパークを中心にした子育てサークルの活動もさかんです。

左/色水とどんぐりでお料理中。いらなくなった調理道具も立派なおもちゃになります。
右/長靴で水たまりに入ったり、雨をお皿に集めたり、雨の日ならではの遊び方も。

「それはダメ!」と、なるべく言わずに子どもを見守りながら遊ばせるためにも、着替えの準備は必須です。お着替え一式とタオル、汚れてもいいサンダルなどを持っていくとよいでしょう。お母さんはお母さんで、少し遠くから子どもを見守ることができて、のんびりした気持ちになれるのもプレーパークの魅力。

羽根木公園・羽根木プレーパーク
東京都世田谷区代田4-38-52
03・3322・0415(羽根木公園有料施設窓口)
03・3324・9284(羽根木プレーパーク)
プレーパークの開園時間:10:00〜18:00
プレーパークの休園日:火曜日・年末年始など
http://www.city.setagaya.lg.jp/shisetsu/1217/1271/d00004240.html
http://playpark.jp/hanegi

 

さて。たくさん遊んだら、今度はプレーパーク脇の坂を下って梅ヶ丘駅に抜ける道を行きましょう。数分で小田急線「梅ヶ丘駅」に到着。駅には二軒のスーパーマーケットがありますから、夕飯の買い物を済ませてから帰ってもいいですね。

*****

おさんぽのおさらい

東松原駅(東口2)→①ブーランジェリー カドー→②WASABI-Elişi→③くるくるひろば→④羽根木公園&羽根木プレーパーク→梅ヶ丘駅

行程: 2.0km
歩数:4,000歩
所要時間:25分+食事、遊び
予算:1,500円

 

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さんぽに行ったライター

ライター・料理家。 出版社に勤務したのち、フリーライターに。食をテーマにした記事やグルメ取材、食品パッケージのコピーなどの執筆のほか、「野菜をもっとおいしく」をモットーに、レシピ開発や撮影のフードスタイリング・調理にも携わる。ロケ弁やケータリングフードを作る「オウチゴハンヤ」も時おり開業。4歳と12歳の母でもある。